解体工事には資格が必要!解体業を営むために必要な許可や登録を徹底解説

解体工事を適切に行うためには、会社として必要な許可や登録を取得することが不可欠です。また、作業内容に応じて、作業員にも資格が必要になることもあります。この記事では、そうした解体工事に必要な資格や登録について解説します。解体工事で必要な資格について知りたい人は、ぜひご覧ください。
解体工事には会社として許可や登録が必要
解体工事を行う際、会社として適切な許可や登録を取得することが法律で義務付けられています。特に、請負金額に応じて必要な手続きが異なります。ここでは、請負金額500万円を基準に異なる許可と登録について見ていきましょう。
請負金額が500万円以上の場合は建設業許可
請負金額が税込500万円以上の解体工事を行うには、「建設業許可」が必要です。この許可を取得するには、経営業務の管理責任者や専任技術者の配置、財産的基礎などの要件を満たす必要があります。さらに、誠実性の確保や欠格要件への非該当も求められます。
許可は都道府県知事または国土交通大臣に申請し、有効期間は5年間です。建設業許可には期限があるため、更新手続きも忘れずに行いましょう。
請負金額が500万円未満の場合は解体工事業登録
請負金額が税込500万円未満の解体工事を行う場合、「解体工事業登録」が必要です。この登録では、資格保有者や実務経験者といった技術管理者の配置が義務付けられます。また、建設業許可と同様に欠格要件への非該当も求められます。
登録は都道府県ごとに行い、有効期間は5年間です。更新手続きが必要なので、期限切れにならないよう注意しましょう。適切な登録を行い、法令を遵守した運営を心がけることが重要です。
解体工事業登録に必要な6つの資格
解体工事業の登録には、一定の技術力を証明する資格が必要です。特に、解体工事に関する専門的な知識や技能を持つ資格者を、技術管理者として配置することが求められます。ここでは、解体工事業登録に必要な6つの代表的な資格について解説します。
建築士
建築士は、建築物の設計・工事監理を担う国家資格です。解体工事においても、構造の特性を理解し、安全な解体計画を立てる役割を果たします。
建築士には1級・2級の2種類があり、特に1級建築士は大規模な解体工事でも活躍できます。解体作業の安全性や法規制への対応を確実に行うために、建築士の知識は重要です。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、土木工事全般の施工管理を行う資格です。解体工事においては、地盤や構造物の安定性を評価し、安全な解体を指導する役割を担います。1級と2級があり、1級はより大規模な工事の監督が可能です。
特に、橋梁やコンクリート構造物の解体では、土木工事に関して深い知識を持つ土木施工管理技士の専門知識が不可欠です。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建築工事全般の施工管理を担当する資格です。解体工事では、建築物の構造や材質に基づいた適切な解体計画を立案し、安全な作業環境を確保する役割があります。
1級・2級の区分があり、1級を取得するとより大規模な解体工事の監督が可能です。工事現場の管理能力を証明する資格として、非常に有用です。
建設機械施工管理技士
建設機械施工管理技士は、解体工事で使用する重機の操作や管理を行うための資格です。大型の建物や構造物を解体する際、バックホーやブレーカーといった重機の安全な運用が求められます。
この資格を取得することで、解体工事現場での機械施工の監督や、適切な作業計画の策定が可能となります。1級・2級があり、1級ではより大規模な工事にも対応できます。
とび・とび工
とび・とび工は、高所作業や足場の組立て・解体を行う技能者の資格です。多くの解体工事では、足場の設置が必要です。そのため、足場の設置や鉄骨の切断など建物の解体作業で幅広く活躍するとび工の資格が欠かせません。
特に高所作業が必要な現場では、安全性を確保するためにとび技能者の役割が重要です。この資格を持つことで、現場の安全管理とスムーズな作業進行を実現できます。
解体工事施工技士
解体工事施工技士は、解体工事の専門的な知識と技術を証明する国家資格です。解体工事の計画や施工、安全管理を総合的に担えるため、解体業者としての信頼性を高める上で非常に重要な資格です。
解体工事施工技士には、解体に関する法令遵守や環境負荷の低減に関する知識も問われます。こうした資格と知識を持つ従業員がいることで安全に解体工事を行えます。
現場の技術者に必要な資格11選
解体工事の現場では、高い専門性と安全管理が必要です。特に、作業の種類に応じた資格を取得しておくことで、安全かつ効率的な業務遂行が可能です。ここでは、解体工事に関わる技術者が取得すべき11の資格について解説します。
建築物等鉄骨の組立て等作業主任者技能講習
鉄骨構造の建築物を解体する際には、「建築物等鉄骨の組立て等作業主任者」の資格が必要です。この資格を持つことで、鉄骨の組立てや解体作業における安全管理を徹底できます。
特に、高所作業や重量物の取り扱いが多い現場では、安全基準を遵守しなければいけません。そのため、この資格があれば技術者としての信頼性が向上します。
ガス溶接作業主任者講習
解体作業では、鉄骨や金属構造物を切断する際にガス溶断が必要となる場面があります。そのため、この資格を取得することで適切にガス機器を取り扱い、安全管理ができます。
そして、この資格の取得者がいれば、火災リスクの低減や作業効率の向上が可能です。ガス溶接作業主任者講習を取得すれば、ガス溶接も可能なため、仕事の幅が広がります。
足場の組立て等作業主任者技能講習
高所作業が伴う解体工事では、足場の設置が不可欠です。「足場の組立て等作業主任者」の資格を取得することで、安全な足場の設計・組立て・解体を適切に管理できます。
講習では作業の進め方や関係法令を学びます。この資格の取得者がいることで、高所作業の安全対策が強化され、労働災害のリスクの軽減が可能です。
車両系建設機械(整地・運搬・積込及び掘削)の運転
解体工事では、建設機械を活用して整地や掘削を行うことも少なくありません。そのため、そういった作業では、「車両系建設機械(整地・運搬・積込及び掘削)」の資格が求められます。
この資格を取得することで、ショベルカーやブルドーザーの操作が可能となります。重機を使用することで作業の効率化が図れるでしょう。
車両系建設機械(解体用)の運転
大型建築物の解体には、専用の建設機械を使用するため、解体用の車両系建設機械の資格が必要です。この資格を取得すると、ブレーカーや鉄骨切断機を用いた解体作業が可能になります。
専用の建設機械を使用することで、安全かつ迅速な解体工事を行えます。そのため、工事の効率化に貢献する資格です。
職長・安全衛生責任者教育
解体工事現場では、安全管理が重要です。そこで、「職長・安全衛生責任者教育」を受講することで、現場のリーダーとしての役割を果たせるようになります。
この教育を受けた者は、安全管理の指導や事故防止のための取り組みを行えます。新たに職務に就く職長や現場を指揮する作業員は必ず取得しなければいけない資格です。
玉掛け技能講習
解体作業では重量物の搬出を行うこともあります。そう言った際、重機を用いて資材や構造物を移動させる作業では、「玉掛け技能講習」の資格が必要です。
この資格を取得すると、クレーンなどの重機を使用した荷物の吊り上げ作業に従事できます。安全に重量物を運搬する知識を取得できるため、現場での作業の安全性が向上します。
コンクリート造の工作物の解体等作業主任者講習
コンクリート造の建築物を解体する際には、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」の資格が求められます。この資格を取得すると、適切な解体計画の策定や安全管理が行えます。
特に、高さが5m以上あるコンクリート造の構造物の解体では、必ずこの資格の有資格者を作業主任者として配置しなければいけません。
木造建築物の組立て等作業主任者技能講習
木造建築の解体工事では、「木造建築物の組立て等作業主任者」の資格が必要です。この資格を取得することで、木造建築物の構造を理解し、安全な解体方法を指導・管理できます。
特に、古い木造建築では独自の技術や建材が使われていることも珍しくありません。こうしたことから、この資格の有資格者の需要が高まっています。
アスベスト建築物の解体・改修工事における石綿障害の予防特別教育
アスベスト(石綿)を含む建築物の解体や改修工事では、「石綿障害予防特別教育」の受講が義務付けられています。これは、アスベスト粉じんによる健康被害を防ぐための対策や適切な除去方法を学ぶための教育です。
特に作業時の防護措置や適切な石綿除去の手順、法規制に関する知識を習得し、安全な解体作業を行うために不可欠な資格です。
特定化学物質等作業主任者技能講習
解体工事では、有害な化学物質を扱うケースもあります。そういった現場では「特定化学物質等作業主任者」の資格が必要です。この資格を取得することで、鉛やダイオキシンなどの有害物質を適切に管理し、作業員の健康被害を防ぐための指導ができます。
特に、解体現場での化学物質の取り扱いに関する安全管理の強化や、法令遵守の徹底に貢献する重要な資格です。
解体工事業登録で必要な要件
解体工事業を営むには、建設リサイクル法に基づく「解体工事業登録」が必要です。登録には技術管理者の配置が必須であり、解体工事に関する資格や一定の実務経験を有する者を選任しなければいけません。
また、申請者が過去に法令違反を犯していないことを示す、欠格要件の非該当も求められます。登録は各都道府県ごとに行い、有効期間は5年間です。期限が切れる前に更新手続きを行う必要があるため、計画的に準備を進めましょう。
ビクトリーでは、以下の通り、建設リサイクル法に基づく解体工事業者登録を行っています。
関連ページ(外部)
解体工事業登録の届出手順
解体工事業登録の手続きは、以下の手順で行いましょう。
- 申請要件のチェック
- 申請書類の作成
- 自治体窓口で申請
- 手数料の支払い
- 登録通知書の受領
申請要件のチェックや書類の作成では、見落としがあると登録できないため、念入りに見直しを行いましょう。
登録完了後、登録通知書を受領することで正式に解体工事業者として活動できるようになります。手続きには時間がかかる場合があるため、早めに申請しましょう。
まとめ
今回は、解体工事に必要な許可や登録、作業員の資格について解説しました。解体工事業を適法に営むためには、解体工事業登録か建設業許可が必要です。どちらも取得するには、厳しい要件を満たさなければなりません。
また、工事の内容によって、作業員に必要な資格が異なります。そのため、作業員は工事に応じた適切な資格を取得する必要があります。
解体工事を安全かつ適正に行うためには、法律に基づく許可や登録が不可欠です。
ビクトリーでは、建設業許可や解体工事業登録をはじめ、必要な資格や手続きをすべて整え、法令を遵守した工事を行っています。
経験豊富な技術者が在籍し、安全管理にも細心の注意を払っておりますので、どうぞ安心してご依頼ください。
お客様のご要望に寄り添い、確実でスムーズな解体工事を提供いたします。