解体における産廃工場の役割とは?廃棄物の処理工程と処分場の役割

解体現場から排出される、廃棄物の行き先を考えたことはありますか。解体業務の裏では、廃棄物の適切な処理を担う産廃工場が重要な役割を果たしています。産廃工場は、環境保全や法令遵守を確保するために必要不可欠な施設です。
今回はそうした解体工事を支える産廃工場について解説します。役割や産業廃棄物の処理工程を理解することで、解体工事を依頼する際に作業をスムーズに進められます。解体を依頼する際の参考になるため、ぜひ最後までご覧ください。
産廃工場とは
産廃工場とは、破棄物を破砕したり焼却したりして、環境へ影響を及ぼさないように処理する施設です。ここでは、そうした産廃工場について、次の3つのポイントから解説します。
- 産廃工場は2種類に分かれる
- 産廃工場で処理される廃棄物
- 処理施設の役割
産廃工場は2種類に分かれる
産廃工場は大きく中間処分場と最終処分場の2種類に分類され、それぞれ異なる役割を持っています。ここでは、それぞれの特徴や役割を解説します。それぞれの特色を理解し、ゴミを処分する際の意識を高めましょう。
中間処理施設
中間処理施設は、解体現場から集められた廃棄物を一時的に保管・処理する施設です。ここでは廃棄物の分別・破砕・圧縮などが行われ、最終処分場に送る前の準備が整えられます。中間処理施設の主な役割は、以下の通りです。
- 廃棄物の再利用可能資源と不要物の分別
- 廃棄物の体積を減らし、輸送効率を向上
- 危険物の適切な処理を実施
中間処分場で処理された廃棄物が、次の最終処分場へと運ばれます。近年は不適切なゴミの廃棄による事故も増えています。そのため、ゴミを排出する際には決められたルールを守らなければいけません。
最終処分場
最終処分場は、中間処分場で処理された廃棄物のうち、再利用が不可能なものを埋立処理する施設です。埋立地は環境への影響を最小限に抑えるため、厳しい管理基準に基づいて運営されています。最終処分場の特徴は、次の通りです。
- 廃棄物が環境に影響を与えないよう、
遮水シートや排水処理施設を設置 - 土壌や地下水の汚染防止対策を徹底
- 長期的な管理が求められる施設設計
都市部などでは、最終処分場にこれ以上ゴミを廃棄できなくなりつつあります。そのため、リサイクルやゴミそのものの量を減らす努力が、一般家庭や企業に求められます。
産廃工場で処理される廃棄物
解体現場から出る廃棄物は多種多様で、適切な処理が求められます。解体工事で発生する産業廃棄物には、主に以下のようなものがあります。
- コンクリート片やアスファルト
- 金属くず
- 木材
- 廃プラスチック
- ガラスや陶器
- 有害物質を含む廃材(アスベストなど)
これらの廃棄物は、中間処理施設と最終処分場で適切に分別・処理され、可能な限りリサイクル資源として再利用されます。
処理施設の役割
産廃工場が果たすもう一つの重要な役割は、地域社会や環境への貢献です。廃棄物が適切に処理されることで、不法投棄や環境汚染を防止し、持続可能な社会の実現に寄与します。
また、リサイクル可能な資源を取り出し新たな製品の原材料として活用することで、資源の循環型社会を推進します。さらに、産業廃棄物処理法に基づく適切な処理は、企業のコンプライアンス強化にもつながる重要な作業です。
これらの活動を通じて、地域環境の保全と経済活動の両立を支えています。
産業廃棄物を処理する工程
産業廃棄物が適切に処理されるまでには、以下の工程を経る必要があります。
- 分別
- 保管
- 収集
- 積み替え
- 中間処理
- 再生処理
- 最終処分
これらの工程を理解することで、処理の流れや施設の役割がより明確になります。
分別
産業廃棄物の処理の第一歩は、分別です。廃棄物を種類ごとに分けることで、リサイクル可能な資源を効率的に取り出し、適切な処理を行う準備を整えます。
分別作業は、リサイクル可能な資源を確保し、廃棄物が環境に与える影響を最小限に抑える重要な役割を果たします。精密な分別を行うことで、処理工程全体の効率が大幅に向上します。
保管
分別された廃棄物は、一時的に保管が必要です。この段階では、廃棄物の種類や状態に応じて適切な保管方法を選ばなければいけません。有害物質を含む廃棄物は、専用の設備や管理体制の下で厳重に保管され、環境への影響を防ぎます。
適切な保管は、廃棄物の品質を維持し、その後の処理工程を円滑に進める基盤となります。
収集
保管された廃棄物は、専門の収集業者によって回収されます。収集作業は、廃棄物が適切な処理施設に運ばれるための重要なプロセスです。効率的な収集ルートの設定や専用車両の活用により、収集コストの削減と環境負荷の軽減が図られます。
また、収集時には廃棄物の種類や状態を確認することで、後の処理をより効率的に進めることが可能です。
積み替え
収集された廃棄物は、積み替え施設で輸送の効率化を図ります。ここでは、小型車両から大型車両へ廃棄物を積み替えることで、長距離輸送のコストや環境負荷を軽減します。積み替え作業は、輸送効率の向上だけでなく、廃棄物が適切に分類され処理施設に届くための重要なステップでもあります。
中間処理
中間処理は、廃棄物を最終処分または再生処理に適した形に加工する工程です。この段階では、廃棄物の破砕・圧縮・焼却といった処理が行われます。
破砕や圧縮によって廃棄物の体積を減らして輸送効率を向上させ、リサイクル可能な素材を取り出しやすくします。また、焼却処理によってエネルギーを回収することも可能です。これらの工程を通じて、廃棄物の最終処理や再利用が効率的に行われます。
再生処理
中間処理を経た廃棄物のうち、リサイクル可能な資源は再生処理されます。金属やプラスチックなどの資源は、新たな製品の原材料として活用されるため、資源の有効活用に貢献します。
再生処理は、限りある資源を最大限に活用するための重要なステップであり、循環型社会の実現に欠かせません。
最終処分
再生処理が不可能な廃棄物は、最終処分場で適切に処理されます。この段階では、環境への影響を最小限に抑えるために徹底した管理を行わなければいけません。
最終処分場では、遮水シートや排水処理施設を活用し、土壌や水質への影響を防ぎます。また、定期的な点検とモニタリングにより、長期的な安全性が確保されます。最終処分は、産業廃棄物処理の最終的な段階です。
産業廃棄物の処理にはマニフェストが必要
産業廃棄物を適切に処理するには、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の作成が欠かせません。マニフェストは、廃棄物が不適切に処理されるのを防ぐ重要な書類です。ここからは、そうしたマニフェストについて解説します。
マニフェストとは
マニフェストとは、産業廃棄物が排出元から最終処分場まで適切に運ばれ、処理されたことを証明するための管理票です。この書類には、廃棄物の種類や量、運搬経路や処分方法などが詳細に記載されます。
これにより、不法投棄や処理ミスを防ぎ、環境保全と法令遵守を確実にします。事業者は、マニフェストの作成と管理を通じて、産廃処理の透明性と信頼性を高めなければいけません。
マニフェストの流れ
マニフェストは、廃棄物の移動とともに適切に手続きを行わなければいけません。マニフェストの流れは、基本的に以下のように動きます。
- 排出元が発行
- 運搬業者が引き継ぎ
- 処分業者が確認
- 排出元が受領確認:最終処分までの全工程が適切に行われたことを確認します。
まずは、廃棄物の排出者がマニフェストを発行し、それを運搬業者が引き継ぎます。そして、中間処理施設や最終処分場などで確認が行われて、廃棄物が処理されます。全ての詩文工程が完了したら排出者が確認し、5年間保管しなければなりません。
POINT
ビクトリーでは、紛失リスク・管理コストの面からマニフェストを紙ではなく電子での運用も推奨、取り扱っております。
解体後の産廃処理
解体工事を行うと、必ず産業廃棄物が発生します。産業廃棄物は適切に処分しなければ法令違反となり、罰則を受けることがあります。産業廃棄物の処分は、解体業者が行うことが一般的です。しかし、依頼者として知識を身につけておくことで、廃棄物の処分をスムーズにできることがあります。
解体工事では幅広い種類の廃棄物が発生します。特に多いのはコンクリートや木材、金属くずやプラスチックです。中でも、コンクリートとアスファルト・コンクリート、木材については、分別と再資源化が建設リサイクル法で定められています。
プラスチックや金属くずなどは、解体業者や廃棄物の処理業者以外でもリサイクルなどは可能です。そのため、依頼者が少しずつ処分することで、解体で発生する廃棄物の量を減らせるでしょう。
ビクトリーなら解体から産廃処理まで責任施工
建物を解体すると、産業廃棄物の処分は避けられません。分別などに手間がかかりますが、決められたルールに基づいて処分しなければ、罰則を受け環境へ悪影響を及ぼします。一般的な解体業者であれば、産業廃棄物を処分業者に引き渡して終わりです。そのため、適切に最後まで処分することが重要です。
今回はそうした解体と産業廃棄物、産廃工場について解説しました。
ビクトリーでは解体によって発生した廃棄物を一貫して処分まで行います。そのため、産業廃棄物は確実かつ適切に処理が行われる点が特徴です。法律に則って丁寧な解体を希望する方は、ビクトリーにご依頼ください。