産廃廃棄を委託する際に必要な契約書とは?書き方や注意点と添付書類を徹底解説!

産業廃棄物の処理を業者に委託する際、「契約書」の存在は不可欠です。法律で定められた書式や記載事項を守らなければ、委託基準違反と見なされ、罰則を受けることもあります。しかし、経験がなければ難しいことが多く、躓いている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、産業廃棄物の廃棄を委託する際に必要な契約書の種類や書き方、再委託に関する注意点や添付書類などを詳しく解説します。廃棄物の処理の契約に関する知識が身につくので、ぜひ最後までご覧ください。
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産業廃棄物処理委託契約書とは?
産業廃棄物処理委託契約書とは、排出事業者が産業廃棄物の「運搬」および「処分」を外部業者に依頼する際に締結する法定契約書です。この契約書は、廃棄物処理法に基づき委託内容や責任の所在、マニフェストの取扱いなどを明確に定めた文書となります。
契約書の中で特に重要なのが、委託基準の遵守です。委託先の許可の有無や再委託の可否など、定められた基準に適合していなければ、違反とされ罰則の対象になる可能性があります。契約書が不備であった場合、委託契約が存在しないとみなされるリスクもあるため、形式・内容の正確性は極めて重要です。
POINT
業務委託契約書や廃棄物処理委託仕様書と混同しないようにしつつ、処理方法や対象物の種類ごとに適切な契約を交わしましょう。
契約書で記載すべき項目
産業廃棄物処理委託契約書は、以下の3つの契約書ごとに記載事項を明確にする必要があります。
- 運搬委託契約書
- 処分委託契約書
- 共通部
それぞれの契約書で記載すべき項目を見ていきましょう。
運搬委託契約書
運搬委託契約書は、廃棄物の収集運搬を第三者に委託する際に取り交わす書類です。この書類で明確にすべき項目は、次の通りです。
- 廃棄物の種類
- 運搬先の処分場や中間処理施設の所在地
- 使用する車両・容器の安全性
- マニフェストの記載・交付ルール
特に注意すべきは、委託先が運搬許可を有していることです。また、廃棄物の飛散・流出のリスク管理も契約書に明記する必要があります。委託違反や再委託が発覚した場合は、排出事業者も責任を問われるため、信頼性のある業者との契約が不可欠です。
処分委託契約書
処分委託契約書は、廃棄物の中間処理または最終処分を他社に委託する場合に締結します。この書類では、以下のような内容を記載する必要があります。
- 処分の方法
- 処分施設の名称および許可番号
- 受入条件や処分量の制限
- 処理後の残渣処分方法
- マニフェストの処分完了報告に関する規定
PCB廃棄物や医療廃棄物など、特別管理産業廃棄物を処理する際には、追加の基準や許可が求められます。再委託の禁止例外に該当するかの判断も、処分業者の対応範囲に依存するため、事前確認が重要です。
共通部
運搬・処分の両契約に共通して記載すべき項目があり、以下の通りです。
- 委託契約の有効期間
- 委託料金および支払い方法
- 契約の中途解約・変更条件
- 委託業者の責任範囲と罰則条項
- 日時・場所など廃棄物の引渡し条件
さらに、委託基準に基づく法定記載事項も添付書類として必要になります。契約書のひな形やエクセル・PDFフォーマットは多くの自治体・業界団体が提供していますが、内容をそのまま使うのではなく、自社の実情に応じて修正・確認を行いましょう。
業廃棄物処理委託契約書を取り交わす際の注意点
産業廃棄物処理委託契約書は、単に取り交わすだけでなく、その内容や形式にも法的な要件があります。ここでは、契約書を作成・運用する際に押さえるべき注意点を解説します。解説する注意点を把握して、スムーズに契約を取り交わしましょう。
必要事項は漏らさず記載しなければいけない
契約書には、廃棄物処理法で定められた法定記載事項を必ず記載しなければいけません。必要な記載事項が欠けている契約書は、法的に無効とされるリスクがあります。自社で契約書を一から作成すると漏れが生じる恐れがあります。そういったリスクを回避するために、自治体などが提供しているフォーマットを使用すると、スムーズに作成が可能です。
書類のフォーマットに頼るだけでなく、内容の正確性と最新の基準への適合を自社でチェックしましょう。
契約書を必ずつくる
口頭での委託やメールでのやり取りのみでは、法的な委託契約として認められません。産業廃棄物処理委託契約は「書面による契約」が義務づけられています。そのため、文書での証拠がない場合、委託基準違反として処分を受ける可能性があります。
書面には印紙を貼り付けなければいけないため、印紙税法に基づいた適切な処理が必要です。業務を委託するすべての廃棄物について、契約書を必ず作成し、内容を相互に確認・保管しましょう。
二者間での契約でなくてはならない
契約は排出事業者と処理業者の二者間で締結しなければなりません。仮に委託業者が再委託先と契約していた場合、排出事業者が直接関与していなければ、委託基準違反となる恐れがあります。
廃棄物処理の委託契約は、委託元が1社、委託先が1社である「一対一の関係」が基本です。契約書には、契約当事者の正式名称と代表者名、所在地を正確に記載しましょう。また、押印の有無も法的効力に影響するため、原則として社印を押す形式がおすすめです。
必要書類を添付しなければいけない
契約書には、処理業者の「産業廃棄物処理業許可証」の写しなどの関連書類を添付することが義務づけられています。必要となる主な添付書類は、以下の通りです。
- 処理業者の許可証(収集運搬・処分)
- 処理施設の所在地図・処理フロー
- 委託契約の履行体制に関する資料
これらは契約内容の正当性を証明する根拠資料でもあるため、契約書本体と一緒に保管しておく必要があります。電子契約の場合でも、PDFやスキャンデータとして保存し、すぐに閲覧できるようにしておきましょう。
5年間保存しなくてはいけない
廃棄物処理の委託契約の契約書は、契約期間が終了した後も「5年間」の保存義務があります。これは廃棄物処理法で明記されており、万が一のトラブルや行政調査に備えるためにも必要です。
保存形式は紙媒体でも電子媒体でも構いません。内容改ざんや消失のリスクに配慮した保管方法を選ぶことが大切です。クラウド保存や契約管理システムの活用も有効です。保管や廃棄に関するルールを社内で定めておくと、スムーズに書類を管理できます。
再委託の禁止
廃棄物の処理委託契約では、原則として「再委託は禁止」です。委託された業者がさらに別の業者へ処理を再委託することは、廃棄物処理法で厳しく制限されています。なぜなら、許可制の趣旨から外れ、不法投棄などが発生する恐れがあるからです。
POINT
ただし、一部の例外として、都道府県知事の許可を得た正規の再委託が認められるケースもあります。例外的に再委託が必要な場合は、事前に自治体と相談し、契約書にその旨を記載しなければいけません。
三者間契約の禁止
産業廃棄物処理契約は、あくまでも「二者間契約」が原則であり、「三者間契約」は無効とされます。たとえば、排出事業者・運搬業者・処分業者の三者で1つの契約書を作成することは、法的に認められていません。それぞれ個別に契約を締結する必要があり、具体的には次のようになります。
- 排出事業者⇔運搬業者(運搬委託契約)
- 排出事業者⇔処分業者(処分委託契約)
この原則を理解していないと、契約無効や委託基準違反となる可能性があるため、注意が必要です。
産業廃棄物処理委託契約書に添付が必要な書類
産業廃棄物処理委託契約書には、契約内容の正当性と法令遵守を担保するため、複数の添付書類が求められます。運搬・処分それぞれの契約ごとに必要な書類が異なるため、これから解説する内容を整理して確認しましょう。
運搬委託契約書
運搬委託契約書には、収集運搬業者が適切な許可を有していることを証明する書類が必要です。主な添付資料は以下の通りです。
- 産業廃棄物収集運搬業の許可証(写し)
- 委託予定の産業廃棄物の運搬が受託者の事業範囲内であることを証明する書面
特に、積替え保管を行う場合は、追加許可が必要となります。また、PCB廃棄など特別管理産業廃棄物を運ぶ場合は、該当する専用許可証を添付しましょう。添付書類は、紛失などを防ぐためにも契約書とあわせて用意し、保管することをおすすめします。
処分委託契約書
処分委託契約書では、処分業者の許可状況や処分能力を裏付ける以下の書類が必要となります。
- 処分業の許可証(中間処理・最終処分いずれか)
- 委託予定の産業廃棄物の処理が受託者の事業範囲内であることを証明する書面
また、以下の書類は運搬と処分共通で必要です。
- 再生利用に係わる環境大臣の認定証の写し
- 広域的処理に係わる環境大臣の認定証の写し
- 無害化処理に係わる環境大臣の認定証の写し
委託する排出事業者は、契約の際に必要な添付書類がすべてそろっているか確認しましょう。
廃棄を委託する際のポイント
廃棄物処理の委託には多くの法的・実務的注意点が存在します。以下のポイントを押さえて、安全・適正な処理を実現しましょう。
- 許可業者の確認
- 契約書の整備
- 再委託の管理
- 記録の保存と更新
委託先は必ず許可を受けた業者であることを確認しましょう。そして、運搬・処分それぞれに分けた契約書を作成し、委託基準に準拠した記載内容と添付書類を準備します。
処分の過程で別業者が関わる場合、正当な再委託であるか、マニフェストで追跡できるかを確認しましょう。契約書・マニフェスト・添付書類は5年間保存し、許可期限や契約内容に変更があった場合は速やかに更新します。
POINT
廃棄物処理は委託すれば終わりではなく、排出事業者としての責任が最後まで伴うことを意識することが重要です。
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POINT
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まとめ
この記事では、産業廃棄物の委託契約について解説しました。産業廃棄物の処理を委託する際は、契約書の正確な作成と必要書類の整備が極めて重要です。運搬・処分ごとの契約を分け、法定記載事項を網羅したうえで、委託基準や再委託ルールの遵守が求められます。
違反があった場合、排出事業者も処罰対象となるため、内容をよく理解したうえで信頼できる業者と契約を結びましょう。排出事業者として新たに委託契約を締結する場合は、今回解説した内容を参考に、適切な契約を取り交わしましょう。